汝、星のごとくのあらすじと感想|切なくてもどかしくて悲しい…最後のタイトル回収が良かった!

汝、星のごとくの感想|最後のタイトル回収が良かった!
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2023年4月に本屋大賞を受賞し、話題になった凪良ゆうさんの著書「汝、星のごとく」を読んだので感想をまとめます。

読み進むにつれて切なさともどかしさと悲しさが積もってきて、いつになったら良いことが起こるんだとジリジリと心が焼けるような気持ちでした…。最後の最後のクライマックスはじんわりと心が温まってまた最初から読み直したくなりました!

あらすじや感想(ネタバレあり)、印象に残ったシーンをまとめるので、少しでも感想がシェアできれば嬉しいです。

Contents(タップできる目次)

「汝、星のごとく」の詳細とあらすじ|切なくて悲しい愛の話

2022年8月に発売された「汝、星のごとく」は、2023年4月12日に本屋大賞を受賞。テレビでインタビューを受ける凪良ゆうさんを見たのですが、涙ながらに賞を受ける姿がとても印象的で鮮明に覚えています。

簡単に詳細とあらすじを紹介しますね。

「汝、星のごとく」の詳細

タイトル汝、星のごとく
著者凪良ゆう
出版社講談社
発売日2022年8月4日
価格書籍¥1,760
kindle版¥1,705
オーディブル¥0(月額1,500円で読み放題)
本の長さ352ページ

 

「汝、星のごとく」は、書籍だけではなくkindle版やAmazonオーディブルもあります。

私はオーディブルの聞き放題で聴きました。(月額1,500円の聞き放題対象に入っていました。)Amazonオーディブルは初月無料キャンペーンもやっているので、気になる人はこちらの記事も見てくださいね。

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ルル

声で聴くのも良かったけど、何度も読みたいからけっきょくあとから文庫本も買っちゃった。

「汝、星のごとく」のあらすじ

この小説では、学生時代から母親の精神的な支えを強いられた少年櫂(カイ)と、少女暁海(アキミ)の成長・恋愛模様が、17歳から32歳までの15年間にわたり描かれています。

本の帯に書かれたキャッチコピーは、

その愛は、あまりにも切ない。

子どもながらに子どもらしくいられず、大人としての役割を強制されることによって生まれた生きづらさ。

それらを一身に抱えた2人の成長と恋愛は、そのキャッチコピー通りあまりに切ない物語を紡ぎます。

社会問題の1つである【ヤングケアラー】をメインテーマに描かれる2人の成長過程。

  • 思春期という繊細な時期や甘酸っぱい思い出
  • 高校卒業後の進路の悩み
  • 社会に出た後の悩みや葛藤

など、誰もが経験する人生のイベントが一連となって描かれていて、読み終わった後には切なさと同時に一つの人生を全うしたかのような疲労感さえありました。

主人公であるアキミの人生は、「現代を生きる女性の生きづらさや悩み」を代弁しているようでもあり、今を生きる多くの女性に刺さるんじゃないかと思います!

「汝、星のごとく」を読んだ感想|いろんな感情が沸き起こって心が揺り動かされた

「汝、星のごとく」を読んでみて、特に印象的だった内容と私の感想をまとめていきます。

ネタバレもありますので、本をこれから読もうとしている方はご注意くださいね!

環境がどれだけ人が左右されるかを痛感させられる話だった

この作品を通して、環境がいかに人ひとりの人生を左右するかを痛感せざるをえませんでした。

子どもは親を選ぶことができないし、どんな親だったとしても強く生きていかなきゃいけない。

主人公である暁海もカイも、子どもながらにいつも母親に精神的な支えを強いられ、疲れています。

本来心の支えになってくれるはずの親を支え、常に気を使って自分を犠牲にしたり感情に蓋をする生活。

瀬戸内の小さな島という閉鎖的なコミュニティの中で、相談する人もおらず2人をより一層孤立させていたように感じます。

これらの2人を取りまく環境は、作中において始終「生きづらさや悩み」へと直結していました。

結果的に、「女性として自立すること」が暁海の中の人生における1つのメインテーマになっていったことを踏まえると、置かれた環境によって幸せの基準や人生の目標が変わってくることは必然ですね。

アキミとカイが惹かれあったのも、お互いの環境が似ていたということが大きく、環境と人は切っても切り離せないもので繋がっているんだと感じます。

優しくてどこか地に足の付かないカイにやきもきする

アキミが母親のそばにいると決めた瞬間から、地元を出ていくカイと暁海の人生はいったん大きく離れていくことになりました。

とはいえ、2人に急に大きな距離が生じるのではなく、徐々に徐々にすれ違っていくのでその過程が切ないんですよね。

カイは上京して自分の夢をつかみ莫大な富を得たので、島暮らしの暁海と考え方や価値観が離れていくのは当然といえば当然だけど。。

暁海のことは好きなのに、退屈さを覚えたり感情もなく浮気に走ったりして。

「やはり富を手に入れると男の人ってこうなってしまうのか?」とヤキモキしながらも、文章のあちこちに出てくる暁美への想いに嘘は見当たらず、なんともすっきりしない。

個人的には、本気で好きな人がいるのに浮気する男の人の気持ちは分からない(涙)

カイのプロポーズのタイミングも、まったく暁美の気持ちや立場を考えていなくて最悪でした。

そんな状態でも、一緒の作品作りの仲間であるナオトのことはどんな状況でも決して見捨てなかったところはやはりカイらしさというか。

母親を絶対に捨てることのできない、カイの優しさは自分をがんじがらめにするしがらみでもありました。

別れてしばらく会っていなかった暁海に対しても、理由をいっさい聞かずに大金を一つ返事で貸してあげたり。結局カイの優しさって物語の初めから終わりまで一貫していたんですよね。

なんだかフラフラした感じのカイだけど、暁海の母親の問題さえなかったらもっとシンプルに事が進んだんだろうなあと私は思います。

ずっと自分を犠牲にしていたアキミの行動力がすごかった

暁海のすごいところは、優しさと強さを兼ね備えているところ。

精神的に不安定な母親のせいでカイについて行けなくなったのに、ずっと母のそばで母のために生活をするのはすごく苦しかったと思う。

途中、母がアキミの貯金を宗教めいたもので散財しちゃうけど、それでも見捨てない暁海は優しいし、そこで働き続けられるメンタルや体力もすごいと思うんですよね。

人ってメンタルが折れちゃうと体もダメになって働けなくなったりしちゃうものだけど、、。

暁美は本業も続けながら睡眠時間を削って刺繍をして。

その結果努力が実を結び、趣味だった刺繍で生計を立てられるようになったアキミに勇気をもらった人も多いはず。

母親と呼ぶこともできないトウコさんとの関係も良かった。

父の浮気相手だから、仲良くすること自体後ろめたさがあったはずだけど、トウコさんの女性としての強さとか自立した姿は輝いていた。

どんな立場であれ、ブレない人ってそれだけで魅力的ですよね。

第2の母といっても過言ではないトウコさんの背中を追いかける暁海の姿に、「がんばれ!がんばれ!」ってずっと読みながらエールを送っていました!

血のつながりだけじゃない、それを超えられる絆もあると信じたい。

そういった人たちに支えられて、最期はカイのそばに行った暁海の行動力は本当にすごい。

時間はかかってしまったけど、それまでの色んな人との出会いや経験でつちかわれた心の成長が、最後の最後に暁海自身を動かしたのかなって思います。

2人をちゃんと見てくれていた北原先生がいてよかった

アキミとカイ2人の共通の知人であり、良き理解者だった北原先生。

先生みたいな存在ってただ待っているだけで現れるものではなくて、いつも一生懸命頑張っている人にだけ現れるものなんじゃないかな。

暁海はカイではなく、ゆくゆくは先生と結婚することになるんだけど、暁海の家でお母さんと先生が談笑するのを眺めているシーンを読んだ時からなんとなく予感してました!

もしかしたら私の他にもピンと来た人がたくさんいるかもしれませんね^^

結局暁海にとって母という不安材料は、母が安心してくれることでしか払拭できないのだから、母が安心してくれる=自分の幸せに繋がるという方程式は不自然なことではないんですよね。

人ってやっぱり、独りでずっと戦い続けるのは疲れちゃうし、楽な方へ行きたくなったり支えてもらいたくなるもの。

最後にはまたアキミをカイのもとへ送り出してくれた時には、先生のことを好きになりそうでした、、(笑)

先生の支えが無かったらアキミはきっとダメになっていたと思うし、アキミがダメになったらカイとも一緒に最期を迎えられなかったと思うと、人は独りでは生きていけないんだと痛感させられます!

ただ、作中には描かれていないけど最後カイが死んでしまった後もずっと暁海と籍を入れたままにしたのか気になる。

先生は先生で「再会」を果たしたんだから暁海と籍をいれたままにしておく義理もない(言葉が悪いですが)んだけど、優しい先生のことだからそのままにしたのかもしれない。もしくは互助会として夫婦でいることが先生にとっても必要だったのか。

ルル

2人の関係は2人にしかわからないのかも。

花火が見られて本当に良かった|最後の最後で2人が閉鎖的な世界から解放される

この作品の中で最も美しい瞬間といえば、暁海とカイが2人で花火を見るシーン!

カイの命が散っていく様を花火と重ね合わせた描写はとても綺麗で、今思い出しても涙がこみ上げてきます。少しずつ熱を失っていくカイとなかなか上がらない花火。「早く花火上がって……」とヒヤヒヤしながら読みました。

この花火を2人一緒に観られたことが、今までの苦労もすれ違いも全て無駄ではなかったと教えてくれているように感じました。

遠回りのように見えて、遠回りではなかった。

そしてこの章では2人の他にも北原先生の娘ちゃんやその彼氏たちも一緒にぞろぞろと花火会場へ向かうので、閉鎖的な世界に生きていたアキミとカイが、最期にはたくさんの人と繋がれたんだなぁと実感してそこでも感動していました。

人の人生ってこうやって交差していくんだなと。

ルル

すべてはこの瞬間のためだけにあったと言っても過言ではないほど美しくて印象的だった。

物語のプロローグに戻る最後も良かった

エピローグでは、冒頭のシーンがもう一度繰り返されるので「あれ?」となります。

月に一度、わたしの夫は恋人に会いに行く。

「汝、星のごとく」p.8

実は最初に聞いたときは、よくわからなくてアキミの母の話かと思っていました。アキミだったのかと我に返ってすべてのピースがかちっとはまったような気がしました。

島の現在進行形リアル・エンタテインメント。アキミがずっと耐えられなかったそんな状況も今のアキミにはもうどうでもよいことになっています。

周りのどうでもいい人たちが理解してくれなくても、本当のことは自分の大切な人たちがちゃんとわかってくれる。だからそんなことで気持ちは揺らがない。

アキミの心の変化や成長が映し出されて、安心するエピローグでした。

ルル

長かった。状況は繰り返されているように見えてもちゃんと前に進めてる。

カイが最後に残してくれたもの|最後のタイトル回収に息をのむ

カイが暁海に存在を打ち明けず残してくれた小説のタイトル。「汝、星のごとく」。最後の最後のタイトル回収に「ここにつながるのか!」としてやられた気持ちになりました…。お見事でした。

悲しみにくれていた心がじんわりと温まる瞬間でした。カイが紡いだ2人の物語をアキミはこれから何度も何度もじっくり読むことができます。

2人が一緒にいられる時間は短かったけど、本を広げればアキミはカイにいつでも会える。

ルル

カイと暁海にしかわからない世界もきっとそこに広がってる。

「汝、星のごとく」は正直、途中で辛いことや衝撃的なことがありすぎて読んでいて辛い気持ちにもなりました。最後も劇的な良いことが起こってハッピーエンドになる……という結末ではありませんでしたが、読み終わった後には感動と切なさと驚きが一気に押し寄せてきました。

とてもアンニュイな終わり方でありながら、気持ちがすっきりする。気持ちは少し前向きになっているけれどいろんな感情が渦巻いて不思議な余韻に包まれる。

かなりの長編だけど、一気に読まないと気が済まなくなってしまう中毒性があって、そしてまたもう一度読みたくなる作品でした!

汝、星のごとくのあらすじと感想まとめ|静かな悲しさと温かさが心に残る本でした!

「汝、星のごとく」のあらすじと感想を紹介しました。

悲しい出来事や衝撃的な現実と向き合わなければならないことも多く、心が揺り動かされっぱなしで。最期はじわじわ温かくなる。本屋大賞に選ばれるのも納得の大作でした。

多くの人の心に感動と衝撃を残したベストセラーなので、そのうち映像化されないかなー?とひそかに期待しています^^

ルル

凪良ゆうさんの著書は「流浪の月」もすごく良かったよ。

今ならオーディブルの聞き放題対象にもなっているので、もう一度読みたい人はぜひ音でも聴いてみてくださいね!

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